『新 感染 ファイナル・エクスプレス』におけるゾンビの定義とは?
目次
初めに
こんばんは、レクと申します。
今回は韓国では珍しいゾンビ映画『新 感染 ファイナル・エクスプレス』鑑賞記念にゾンビの定義とは何か?について語っていこうと思っております。
映画「新 感染 ファイナル・エクスプレス」予告編より
原題:부산행
英題:TRAIN TO BUSAN
今作の内容に触れる部分は主にゾンビの話です。
直接ストーリー等のネタバレに触れることはありませんが、念の為に未鑑賞の方は注意をお願いします。
「釜山行き」(原題)に込められた監督の想い?
釜山はKTXの終点である。
韓国人にとって最も代表的な終着駅である釜山駅を、ゾンビを題材に終末へと向かってゆくストーリーと重ね合わせたもの。
登場人物それぞれの人生にも終わりがある。
そうした人生の比喩にもなるのではないか?
(C)2016 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & REDPETER FILM. All Rights
今作「新 感染 ファイナル・エクスプレス」(以下「新感染」)でヨン・サンホ監督がゾンビ映画を作るに至った経緯ですが、彼は元々はアニメーション監督を希望していたそうです。
長編アニメ映画『豚の王』でデビューし、更に長編アニメ映画『ソウル・ステーション/パンデミック』を撮った際に具体的な実写映画の提案をもらって『新感染』に至ったそうです。
前日譚にあたる『ソウル・ステーション/パンデミック』と『新感染』はもともと「ホームレスとゾンビ」という題材で撮る予定だったそうで、発展を遂げる釜山周辺に乗り遅れたホームレスがゾンビに喩えられています。
ゾンビは人間の延長線上の存在だという彼のゾンビ観はこの時点である程度固まっていたのでしょう。
ゾンビの定義とは何か?
さて、いよいよ本題に入っていこうと思いますが、先ず「新感染」におけるゾンビの特徴を纏めてみましょう。
- 動きが速い
- 明暗によって視力が変わる
- 知能が低い
- ゾンビ化するのが早い
簡単に纏めるとこんな所でしょうか。
近年に見るゾンビと然程違いはないように思えます。
ジョージ・A・ロメロ監督作「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」
"ゾンビ"を決定づけた作品は故ジョージ・A・ロメロ監督作『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』。
ゾンビとは生きる屍。つまり死後硬直はあり、肉体は腐るし派手な動きをすれば壊れるというのが、そもそものゾンビの定義でした。
さて、ここ何年かでゾンビという定義が大きく変わってきています。
「ゾンビは走る!」
これに代表される作品が『28日後…』や『28週後…』ですね。
映画「28週後…」より
『ドーン・オブ・ザ・デッド』を作ったザック・スナイダー監督も「発病したばかりのゾンビは新鮮で、まだ腐っていないので動ける」と主張していました(笑)
今までのノロノロと動くゾンビの概念をぶっ潰した全力疾走で駆け回るゾンビたち。
確かに襲われる恐怖心を煽るためには良い演出と言えますが。
そんな中、ゾンビ映画の巨匠 故ジョージ・A・ロメロ監督は生前に公式でこう語っていました。
「決して足の速いゾンビを作ろうとは思わない、ゾンビが走ったら足折れるだろ」
新旧ゾンビ対決!
はい。
近年は新たに感染系というゾンビ?が流通しており、パンデミックで代表されるのが『バイオハザード』シリーズ。
自分の大好きな『REC/レック』シリーズもある種の感染系ですね。
ウイルス感染によりゾンビ化するという新たなジャンルで、以前のゾンビの定義を覆したんです。
今作、「新感染」もタイトル通り、感染系のジャンルに属するゾンビ映画と言えます(笑)
自分はゾンビはノロノロだからこそ、その人間の心理描写が描けると思うんです。
じわじわと追い詰められていく時間にゾンビ化した愛する人や友人達への想いを馳せるものだと。
近年でその新旧のゾンビの概念をしっかりと受け止めたゾンビ映画が公開されていたのをご存知ですか?
どうせコメディなんだろ?と思わせるタイトルこそB級臭のする作品ですが、ゾンビの定義としては素晴らしいんです。
従来のゾンビはノロノロな動きが特徴でしたが、近来のゾンビは動きが俊敏で邪道とは言われる一方、そんな作品が増えてきているのも事実です。
そのノロノロゾンビと走るゾンビがコラボレーションしたのがこの「ゾンビ・サファリパーク」!
その違いは"鮮度"という何ともゾンビらしさを活かした設定。
ゾンビになりたては速く動ける
を確立させた作品だと思います。
結論
「新感染」におけるゾンビの定義は?ですが、もう監督がゾンビって言えばゾンビじゃないですかね(投げやり)
散々、ゾンビとは?について語ってきましたが、投げやりですみません(笑)
「新感染」でヨン・サンホ監督が最も気にした点もゾンビの動きについてでした。
「哭声 コクソン」でゾンビの動きを担当された方を「新感染」でも振り付けとして起用したそうです。
ひとつは自分が愛していた人が別の存在に替わってしまうという恐怖。
もうひとつは、自分も別の存在になって愛する人を食うかもしれないという恐怖。
それらを見た目で感じてもらうために、動きはやっぱりすごく大事になってくる。
とも語られています。
「新感染」では近年のゾンビの設定を活かしつつも、人間の延長線上の存在として演出されている事がわかります。
韓国で2016年は『哭声 コクソン』と『新感染 ファイナル・エクスプレス』の大ヒットで、ゾンビ一色だったそうで。
韓国のゾンビブームに乗っかって、今後も良作な韓国産ゾンビ映画が作られるかもしれませんね。
終わりに
纏まり無くてすみません。
「新感染」でのゾンビにはそこまで目新しさは無かったように思います。
人体破壊描写や臓物むしゃむしゃなゾンビを全面に押し出した作品ではなかったですね。
どちらかと言うとゾンビ映画を媒体として登場人物の心理の変化や感動に重きを置かれた控えめな演出です。
上記にも記載しましたが、終点「釜山行き」を人生の終着駅として終末を比喩し、また折り返す駅でもある終点は新たな命の出発点のような気もします。
主人公の子どもに対する愛情や妊婦を庇うホームレス、子どもの存在をテーマとしている部分もあるかと思います。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました。
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