映画「ウィッチ」の惨劇は一週間の出来事!?(ネタバレ考察)
目次
初めに
こんばんは、レクと申します。
今回は先日観てきました映画「ウィッチ」について語ろうかと思っております。
ネタバレを含みますので、未鑑賞の方はご注意ください。
あらすじと予告
(C)2015 Witch Movie,LLC.All Right Reserved.
あらすじ
1630年、ニューイングランド。ウィリアム(ラルフ・アイネソン)とキャサリン(ケイト・ディッキー)の夫婦は、敬けんなキリスト教生活を送るために5人の子どもたちと森の近くにある荒地へとやって来た。しかし、赤ん坊のサムが何者かに連れ去られ、行方不明となってしまう。家族が悲しみに沈む中、父ウィリアムは、娘のトマシン(アニヤ・テイラー=ジョイ)が魔女ではないかとの疑いを抱き、疑心暗鬼となった家族は、狂気の淵へと転がり落ちていく。
ウィッチ : 作品情報 - 映画.comより
予告編
登場する動物と魔女
日本ではあまり馴染みのない「イースター」という行事があることをご存知でしょうか?
このイースターにはタマゴとウサギが深く関わっています。
と言っても今作においてイースターはあまり関係ないのですが、キリスト教における各々の役割として把握しておいた方がいいかもしれません。
タマゴは生命のシンボルとされ、キリスト復活を祝うのに相応しいとされています。
トマシンが鶏小屋からタマゴを取り出した際に誤って落としてしまったシーンがありましたが、これは死を連想させる不吉な暗示ではないかと考えています。
同じくウサギも生命に関わることとされ、1年に何度も出産することから豊穣のシンボルとされています。
また、それ以前には元々、ウサギは穢れたものとされていました。
レビ記11章の一節
「野うさぎ、これは反芻するけれどもひづめが割れていないから、あなたがたにはけがれたものである。」
ウサギは月のシンボルとして扱われることが多いが、今作のように山のシンボルとしても扱われることがあります。
因みに、日本でもウサギに関する風習がある。
ウサギを山の神と同一視あるいは山の神の使いや乗り物とする伝承も日本各地で多く見られます。
福井県三方郡ではウサギは山の神の使いとされ山の神の祭日に山に入ることの戒めとともに伝わっていますね。
では、魔女との関係性は?
よくウサギをモチーフとした魔女を見かけませんか?
お守りの一種に「ラビット・フット」というものがあります。
ラビット・フット
欧州では、中世以降、キリスト教の狂気的な異教排除(魔女裁判・異端審問)の嵐の中、キリスト教以前の欧州古来の春の女神と結びつくウサギもその影響をまぬがれなかった。ラビッツ・フットに関しても、ウサギは魔女(つまり、キリスト教でない信仰を持つ男女、あるいは土着信仰の神々)に属するから、ウサギの足を切り取ったものを持っているのは魔女を狩り殺した証(自らは異端教徒でなく、権力とキリスト教に従順である証)であるからだいう話が広まっている。
Wikipediaより引用
ウィルとケイレブが狩りに出掛けた際、ウサギを狩り損ねていますね。
これは魔女狩りの失敗を暗示し、魔女の存在を明らかにした、と示唆されると考えました。
また、ウサギ以外にも不吉な動物もあります。
キリストはどんな動物にも擬態しないしどんな動物も使役しない。そこで、キリストの神ではない信仰と関わりの深い動物と交流するのは悪魔の証になるとして、さまざまな生物がそのように異界と交流を持つと意味づけられることになり、結果として誰かを魔女とする理由となった。空を飛ぶ哺乳類であるコウモリなどもそうであるし、人間のように年を取ると髭が生える山羊、足が生えたり尻尾が消えたりして水陸自在に生きるカエルも同様であり、孔雀などもオスのあの尾羽が目のようで不吉であるなどとされた。
Wikipediaより引用
このように山羊もキリスト教では不吉なものとされています。
新約聖書(マタイによる福音書)では、ヤギを悪しきものの象徴として扱うくだりがある。ヨーロッパのキリスト教文化においては、ヤギには悪魔の象徴としてのイメージが強い。
また、中世では、悪魔の化身としてのヤギに乗って空を飛ぶ魔女の版画などもある。
Wikipediaより引用
旧約聖書の時代にはヨーロッパで様々な宗教が混在しており、その中には豊穣祈願の為に「生け贄」を捧げる儀式があったようです。
その生け贄には山羊がよく用いられた事が多かった事が始まりです。
キリスト教やユダヤ教などでは「生け贄」を必要とする儀式は心底嫌う儀式であり、そこから中世にまで「生け贄=山羊」のイメージが定着しました。
悪魔の召喚儀式には生け贄として黒い山羊(当時は全身黒い山羊はかなり珍しく、悪魔の力を持っていると思われた)を選ぶようになった。
元々「黒い動物」は不吉であり、黒猫を飼っているだけで魔女にされた老婆もいたそうです。
つまり、黒うさぎ、黒山羊、カラスは全て魔女の存在を示す存在であるということがわかっていただけると思います。
魔女の存在
童話や御伽噺のようにフィクションで語られる映画「ウィッチ」では、魔女の存在は"在る"とされています。
更に一本踏み込むと、魔女は存在するのではないか?と思わせるような構成となっています。
では、この物語の中で、本当に魔女は存在したのか?
存在を否定してしまうと今後の話が破綻してしまいますので、ここは肯定した前提で話を進めさせていただきます(笑)
魔女(まじょ、英: witch、仏: sorcière、独: Hexe)
古いヨーロッパの俗信で、超自然的な力で人畜に害を及ぼすとされた人間、または妖術を行使する者のことを指す。魔女の概念をなす要素のひとつに、ラテン語で「マレフィキウム」(悪行)と呼ばれた加害魔法の概念があるとされる。呪術的な手段によって他者を害することは、古代ローマ時代から刑罰の対象であった。中世ヨーロッパでもこのマレフィキウムに対する考え方は存続した。
しかし中世晩期の15世紀になると、それまでの単なる悪い呪術師とは別様の、「悪魔と契約を結んで得た力をもって災いをなす存在」という概念が生まれた。魔女とは悪魔に従属する人間であり、悪霊(デーモン)との契約および性的交わりによって、超自然的な魔力や人を害する軟膏を授かった者とされた。
Wikipediaより引用
「悪霊(デーモン)との契約および性的交わりによって、超自然的な魔力や人を害する軟膏を授かった者。」
悪魔とは、上記に記述した通り悪魔の象徴である黒山羊のことですね。
そして
「契約および性的交わり」
つまり契約を交わす際に性的な交わりがあったと仮定しています。いろんな意味で(笑)
まず、母ケイトが語った「月のもの」。
これはトマシンが月経の時期に来たということ。
そして黒山羊との契約時に全裸になる必要性。
このことからも性的な交わりがあったと考えたわけですが。
レビ記19章の一節
「女に漏出があって、その漏出物がからだの血であるならば、彼女は七日間、月のさわりの状態になる。だれでも彼女に触れる者は、夕方まで汚れる。」
つまり月経のことです。
キリスト教も月経をタブーとしています。
ここでもキリスト教で不吉なものとされる描写をさりげなく散りばめられています。
これでトマシンは魔女として生きていくこととなったわけですが。
ラストシーンの全裸の女性(魔女たち)のファイヤーダンス。
これはサバトと呼ばれる魔女達の集会です。
サバトに集う悪魔と魔女たち(ヨーハン・ヤーコプ・ヴィックの年代記 en:Wickiana より)サバト (Sabbath、Sabbat)
ヨーロッパで信じられていた魔女あるいは悪魔崇拝の集会。魔宴、魔女の夜宴・夜会ともいう。ヨーロッパでは土曜の夜に魔女が集会を行うと信じられ、中世から17世紀ごろまでサバトに参加した罪を告発されて裁判にかけられた無数の人々の記録が残っている。
Wikipediaより引用
「ワルプルギスの夜」の方が馴染みのある言葉かもしれません(笑)
アニメ「魔法少女まどか☆マギカ」より
一週間の出来事!?
さて、タイトルの本題へと入りますが、自分が映画「ウィッチ」を観た上で思ったことがこれですね。
もしかしたら、この惨劇って一週間の出来事なのではないのか?
まず、映画「ウィッチ」での大まかな時系列で確認しましょう。
惨劇のはじまりは教会から街を追放された一家が森の近くで住むことになるところでした。
ここから、悪夢のような一週間が始まります。
1.赤ちゃんのサムが突如として消えてしまう。
※ここから一週間の惨劇が始まったと仮定しています。
狼の仕業なのか?魔女の仕業なのか?
家族で議論されます。
2.父ウィルとケイレブが森へ出掛ける。
ここで黒ウサギと出会います。
ウィルが母ケイトの銀のコップを黙って売ったことも明かされます。
3.家族で集会。
セリフにあったと思うのですが、サムが消息を絶ってまだ2日しか経っていない夜です。
カトリックでは故人の死後3日目に追悼ミサが行われること。パンを割く礼拝(ミサ)からこの曜日が日曜日だと仮定できます。
つまり、1.がキリストが十字架に架けられた日(受難日)である金曜日。
スイスでは子どもを殺す儀式がサバトで行われていた例もあり、攫われた翌土曜日にその儀式が執り行われたとも考えられます。
4.川でトマシンが双子に魔女だと嘘をつく。
これが翌日の月曜日。
そうです、魔女は月曜日に嘘をつくんです(笑)
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その夜、トマシンを奉公に出すとウィルとケイトが話す。
5.奉公の話を聞いていたケイレブとトマシンは森へ向かうが、ケイレブが行方不明となる。
火曜日。
6.トマシンだけが無事帰宅。
ケイレブが居なくなったことでケイトは精神的に追い詰められる。
その日の夜、ケイレブが帰ってくる。
水曜日。
7.ケイレブが魔女の呪いで死亡。
逃げ出すトマシンへウィルは魔女の疑いをかける。
双子まで魔女だと疑われ、山羊小屋に監禁。
その晩、山羊の乳を飲む老婆に遭遇。
木曜日。
8.山羊小屋は半壊。
横たわる2匹の山羊は魔女の呪いで山羊へと変えられた双子なのか?
単に連れ去られたのか?
ウィルは黒山羊フィリップスに殺害される。
ケイトもトマシンを襲うが逆襲され死亡。
トマシンが黒山羊フィリップスと悪魔の契約を行う。
金曜日(受難日)。
9.森へと入ったトマシンはサバトの現場を目撃。
サバトは土曜日の夜に行われる。
一度しか観れてないので時系列が合ってるのか怪しい上に、ものすごく無理矢理感は否めませんが(苦笑)
一週間というごく短い期間で一家崩壊に追いやられた。
魔女にとって日曜日は嫌な日なんです(笑)
原題について
原題「THE VVITCH」
何故「W」の表記が「VV」なのか。
理由として、当時は「W」の文字は使われておらず、「VV」と記したからだそうです。
英語名ダブリュー(英語: double U)は「二重のU」の意味だが、ロマンス系の言語などでは「二重のV」の名で呼んでいる。 その名のとおり、古英語で使われはじめた二重音字「vv」または「uu」に由来する文字である。
Wikipediaより引用
しかし、それだけの意味ではないように思います。
「W」に注目させる意図があったのではないか?
この映画「ウィッチ」には「W」から始まる単語がいくつかある気がするんですよね。
William(父の名前)
Witch(魔女)
Worship(礼拝)
Walpurgisnacht(ワルプルギスの夜)
そして、自分が今回考察に至った
Week(週)
また、Wは、ラテン文字(アルファベット)の 23 番目の文字で、西洋では 23 は 13 と同様に凶兆を表す数字である。
因みに、 23 の二十進法は 13 です。
「vvitch」の「w」を取り除くと「itch」が残ります。
「itch」には痒い。むずむずする。の他にもこんな意味があります。
「強く落ちつかない欲求」
正に悪魔との契約でトマシンが望んだものもこの欲求だったのではないだろうか。
単なるこじ付けですが、これも一つの考察として軽く流しておいてください(笑)