小羊の悲鳴は止まない

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ロレーン・ブロートンの素性とは?(「アトミック・ブロンド」ネタバレ考察)

目次




初めに

こんにちは、レクと申します。

先日観てきました、話題の「アトミック・ブロンド」について語っています。

ネタバレがございますので、未鑑賞の方はご注意ください。



概要


原題:Atomic Blonde
製作年:2017年
製作国:アメリカ
上映時間:115分
映倫区分:R15+


解説

マッドマックス 怒りのデス・ロード」や「ワイルド・スピード ICE BREAK」など近年はアクション映画でも活躍の幅を広げているシャーリーズ・セロンが、MI6の女スパイを演じた主演作。アントニー・ジョンソンによる人気グラフィックノベルを映画化したアクションスリラーで、「ジョン・ウィック」シリーズのプロデューサーや「デッドプール」続編の監督も務めるデビッド・リーチがメガホンをとった。冷戦末期、ベルリンの壁崩壊直前の1989年。西側に極秘情報を流そうとしていたMI6の捜査官が殺され、最高機密の極秘リストが紛失してしまう。リストの奪還と、裏切り者の二重スパイを見つけ出すよう命じられたMI6の諜報員ロレーン・ブロートンは、各国のスパイを相手にリストをめぐる争奪戦を繰り広げる。共演に「X-MEN」「ウォンテッド」のジェームズ・マカボイ、「キングスマン」「ザ・マミー 呪われた砂漠の王女」のソフィア・ブテラ
アトミック・ブロンド : 作品情報 - 映画.comより引用


予告編



時代背景

本作の舞台は1989年の冷戦末期のベルリン。
11月9日にはあの有名なベルリンの壁崩壊。
そして1991年にはソ連が崩壊。
ドイツやソ連にとっては歴史的な時代だったと言えます。


ベルリンの壁崩壊
ポーランド民主化ハンガリーの改革が進み、東欧の社会主義国民主化の動きに混乱が続いていた最中の1989年11月9日に、それまで東ドイツ市民の大量出国の事態にさらされていた東ドイツ政府が、その対応策として旅行及び国外移住の大幅な規制緩和政令を「事実上の旅行自由化」と受け取れる表現で発表したことで、この日の夜にベルリンの壁にベルリン市民が殺到し混乱の中で国境検問所が開放され、それまで28年間、東西ベルリンが遮断されてきた東西分断の歴史に終止符が打たれたことである。東西ベルリン市民が歓呼して壁によじ登り、やがて東ドイツは西ドイツに吸収される形でドイツが統一されて東欧革命を象徴する事件となった。略称として壁崩壊(ドイツ語: Mauerfall)ともいう。
Wikipediaより引用



MI6(秘密情報部)

007で有名だとは思いますがイギリスの情報機関です。
そこで女諜報員として暗躍するシャーリーズ・セロン扮するロレーン・ブロートン。


実際に女スパイが活躍した事実が残っています。

「シンシア」というコードネームを持つベティ・パックは、イギリスの情報機関であるMI6の女性スパイとして活躍。
ニートラップで標的に接触してピロートークで情報を盗み出すというまさに女版ジェームズ・ボンドとも言える彼女は、第二次世界大戦時に数十年間知られていなかったフランス、イタリアの海軍の暗号を入手するなどの多大なる実績を挙げたそうです。

自分も女スパイのイメージとしてはハニートラップでした。
B地区出てる割にはお色気で…って諜報活動ではなくアクションが主なんですね(笑)


CIA(中央情報局)

この名前はよく耳にすると思います。
アメリカの諜報機関であり、公式に認める組織でもあります。

女スパイ繋がりでいうと映画「ソルト」。

アンジェリーナ・ジョリー扮するCIAエージェントが二重スパイの容疑にかけられるという話。


KGB(ソ連国家保安委員会)

こちらはあまり馴染みのない組織ですね。
アメリカのCIAに対抗する為に設立された工作組織で、今は存在していません。

映画「裏切りのサーカス」では
英国諜報組織の中枢に20年も潜入しているソ連の二重スパイを捜すため、引退生活から呼び戻されたスパイが敵味方の区別もつかない中で真相に迫る姿が描かれています。

裏切りのサーカス コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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こちらは東西冷戦を時代背景とした映画でもあります。



この三つの組織と諜報員のリストを巡る紛争に巻き込まれていくわけですが、ある程度は当時の時代背景は頭に入れておいた方がいいと思います。

また、スパイ映画ということで、誰を信じればいいのか?
誰が味方で誰が敵なのかも分からない、裏を返せば誰も信じられない状況で命をかけて任務を遂行する。
そんな孤独な世界が広がっています。



本作の魅力

シャーリーズ・セロン姐さんは昔から好きですが、更に好きになる作品でした。
勿論、彼女の美しさや仕事に対する姿勢もそうですが、苦労した下積み時代の話や過去の家族のことを知った時に応援しようと思ったんですよね。

何より姐さんのB地区が3回もポロリなんて。←正確な回数とは言ってない


と、それは置いといて

本作は様々な魅力の詰まった映画だと思います。

シャーリーズ・セロンの華麗さと妖艶さ。
長回しのアクションで血塗ろバテバテになる泥臭い姿。
タバコの吸い方やお酒の飲み方。
立ち振る舞い一つにしても、全てが様になっています。

何よりも、音楽と映像の使い方が非常に上手い。



結論

では、ロレーンという人物は一体何者なのか?


冒頭からロレーンはウォッカのロックを飲んでました。

ロシアの酒、ストリチナヤ。

ストリチナヤ ウオッカ 40度 750ml

ストリチナヤ ウオッカ 40度 750ml

これはソ連、つまりKGBの二重スパイを示唆させる伏線だったのでしょうか?(笑)


しかし、終盤にはパーシヴァルから回収したリストの存在を隠し、ロレーンはCIA諜報員として帰還します。
パーシヴァルが「サッチェル」だとして殺したロレーンですが、パーシヴァルがリストを見て気付いたように実際はロレーン自身でした。

ロレーンはリストを消すことで自身が「サッチェル」であることを闇に葬り、CIAの三重スパイとして自身の身を隠したことになります。


結局、彼女はMI6、KGB、CIAの全てと繋がっていたことになります。
裏を返せば、彼女は全ての諜報、工作機関にも所属していないのではないだろうか?


アトミックとは「原子の」という意味がありますよね。
原子とはこれ以上分解されないものです。
つまり、分離できないもの。
彼女はどこにも所属せず、初めから独りだったのではないでしょうか?

彼女の髪の色、ブロンドもまた何色にも染まります。
作中でも様々なネオン色、証明により染まっていますよね?
彼女の服が定まっていないことも、変装する度に服の色を変えていたことも、勿論スパイとしての変装なのでしょうが、それ以上に全てはそこに繋がっていくのではないでしょうか?



ここまでお読みくださった方、ありがとうございました。