小羊の悲鳴は止まない

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等価交換で得られたものは…(「鋼の錬金術師」ネタバレ感想)

目次




初めに

こんにちは、レクと申します。

今回は酷評の嵐で前評判から気になってた映画「鋼の錬金術師」について語らせていただきます。

この記事はネタバレを含みます。
ご注意ください。



作品概要


製作年:2017年
製作国:日本
配給:ワーナー・ブラザース映画
上映時間:133分
映倫区分:G


解説

2001~10年に「月刊少年ガンガン」で連載され、テレビアニメ版も大ヒットを記録した荒川弘の人気コミック「鋼の錬金術師」を実写映画化。物質の構成や形状を変化させて新たなものに作り変える「錬金術」が存在する世界。幼い兄弟エドワードとアルフォンスは、死んだ母を生き返らせたい一心で錬金術最大の禁忌である人体錬成を行なうが失敗し、その代償としてエドワードは身体の一部を、アルフォンスは身体全てを失い鎧に魂を定着させた姿になってしまう。数年後、国家錬金術師の資格を得たエドワードは、失った身体を取り戻すため、絶大な力を持つという「賢者の石」を探す旅に出る。主人公エドワード役を実写版「暗殺教室」シリーズにも主演した「Hey! Say! JUMP」の山田涼介が務め、ヒロインのウィンリィ役を本田翼、エドワードたちの良き理解者である若き士官マスタング役をディーン・フジオカがそれぞれ演じる。監督は「ピンポン」の曽利文彦
鋼の錬金術師 : 作品情報 - 映画.comより引用


予告編



感想

なんだこれwww



実写化する意味

畜生ォ…感想を書く意欲を持っていかれた…!


あまり批判的なことは言いたくないのですが、端的に言わせてもらって、褒められる出来ではなかったです。

ここからは鋼の錬金術師」は実写化する意味はあったのか?について少し自論を述べたいと思います。


鋼の錬金術師全27巻 完結セット (ガンガンコミックス)

鋼の錬金術師全27巻 完結セット (ガンガンコミックス)

原作コミックスは全27巻。


鋼の錬金術師」の実写化である今作の終着点は色欲のホムンクルスであるラストとの決着です。


確かに、ヒューズの死は原作においても衝撃的な場面であり、私自身も涙しました。
が、あくまでも物語の一端であり、原作「鋼の錬金術師」の壮大な物語を映画という2時間の枠で収めることはほぼ不可能に近い。
そんな中でこの終着点の選択は正直、失敗だと思います。



そもそも一つの作品として完成している漫画やアニメを実写化する意味はあるのか?

実写化する一つの理由は、原作未読の方にも認知してもらう。
つまり、再度話題になるということが最も大きな目的だと思ってます。
また、原作ファンを映画館に取り込むという目的も同時にあると思います。

そして、映画化やリメイク、リブートされたものは原作やオリジナルとは別物として一つの作品として観たいんですよね。
勿論、それらの比較対象にはしますが、あくまでも一つの作品なんですから。



今回の実写化は果たしてその役割を担う出来だったのか。

確かに等価交換、0巻錬成の為の映画でした。
そういう意味で、映画館に取り込むという点で成功と言えるでしょう。
また、低評価ではありますが話題になっていることも成功と言えますね。

あとは原作未読の方が『原作は面白い』という評判で原作をお読みくださることを願うばかりです(笑)




今回の実写化において、個人的に評価できる点は映像(VFX)のみ。

静止画である漫画では表現に限界のある錬成が上手く表現されていたこと。


弟アルへの拘りも映像でしっかりと語られたように思います。

あとは色欲の松雪泰子さんの妖艶さ、おっぱい。


ストーリーに関しては、ある程度終着点を決めているので流れは理解できる。

ただ、これはあくまでも原作を知っているから言えることであり、原作を知らなければ何故そうなったのか分からない展開もあったと思います。
今作は原作の一端を切り取った内容となっている為に、ごく平凡なストーリーと成り下がったと言えます。

テンポが悪い。演技、編集が下手くそなのは置いておいて…。


もう一度言います。
鋼の錬金術師」は原作コミックス全27巻で一つのストーリー
なんです!


映像に力を入れた分、物語を映画として一つの作品で完成させていないので、そのストーリーに薄っぺらささえ感じてしまうんですよね…。
要は全部が中途半端な出来になってしまっているんです。
これでは実写化しなくてもよかったのでは?とさえ思ってしまうんですよ。



結論。

実写化に意味のないことはない。と仰られる方もおられるのかもしれません。
現に映画「鋼の錬金術師」をご覧になって「鋼の錬金術師」のファンになる方もおられるかもしれませんし。

ただ、自分は実写化した意味はあったが、実写化する必要はなかったと思います。

※これはあくまでも個人的な意見です。



それに加えて、皆さんがツッコミを入れている
日本人が演じちゃダメだろ問題

鋼の錬金術師」の原作者である荒川弘先生の作品「銀の匙」も実写化されていますが、こちらは日本ベースであり実写化もしやすい題材です。

この点に関しても、日本で実写化するに相応しい題材でないことは明白であり、実写化する必要はなかったのではないか?という結論に結びついてしまうんですよ。


たとえ曽利監督が本当に原作ファンだったとしても、その作品愛が膨らみすぎてマイナス方向へ向かっちゃったのかなー、と書きながら今になって考えるようになりました。

実写化映画の悪いところを詰め込んだ様な映画ですね(笑)



終わりに

この映画で得られた等価交換は0巻と排泄欲でした。


慌てて映画館に来たこともあってずっと鑑賞中、トイレに行きたかったんですよ。

上映中に中抜けはしないポリシーなので耐えましたけど。

そういう意味で苦痛な2時間でした(苦笑)


とは言え、個人的には楽しめはしましたよ。
原作が好きなだけに残念な出来ではありましたが、冒頭でも記載した通りVFXによる錬成に関しての映像で見せる躍動感とアルの出来が目立っていたのかなあと。

もう一度書いておきますが、映画を観て面白かったと感じた方も、つまらないと感じた方も、原作を読んでみたいと思ってくださることを願うばかりです(笑)


劇場版「鋼の錬金術師」二作も置いておきます。
この二作なら「シャンバラを征く者」がオススメ。


最後までお読みくださった方、ありがとうございました。



(C)2017 荒川弘SQUARE ENIX (C)2017 映画「鋼の錬金術師」製作委員会