この映画は二度はじまる(「カメラを止めるな!」ネタバレなし)
目次
初めに
こんにちは、レクと申します。
今回は今、話題の「カメラを止めるな!」について語っていこうかと思っています。
まだ上映館数も少なく、観てない方も大勢おられると思いますのでネタバレは控えています。
※とは言ってもサイト情報や予告編で明示されている部分については言及しています。
作品概要
製作年:2017年
製作国:日本
配給:ENBUゼミナール
日本初公開:2017年11月4日
上映時間:96分
・解説
映画専門学校「ENBUゼミナール」のワークショップ「シネマプロジェクト」の第7弾として製作された作品で、前半と後半で大きく赴きが異なる異色の構成や緻密な脚本、30分以上に及ぶ長回しなど、さまざま挑戦に満ちた野心作。「37分ワンシーンワンカットのゾンビサバイバル映画」を撮った人々の姿を描く。監督はオムニバス映画「4/猫 ねこぶんのよん」などに参加してきた上田慎一郎。とある自主映画の撮影隊が山奥の廃墟でゾンビ映画の撮影をしていたが、そこへ本物のゾンビが襲来。ディレクターの日暮は大喜びで撮影を続けるが、撮影隊の面々は次々とゾンビ化していき……。2017年11月に「シネマプロジェクト」第7弾作品の「きみはなにも悪くないよ」とともに劇場で上映されて好評を博し、18年6月に単独で劇場公開。
カメラを止めるな! : 作品情報 - 映画.comより引用
・予告編
駄文
まず、Twitterの感想から。
「カメラを止めるな!」観た。
— レクニャン@映画垢 (@m_o_v_i_e_) 2018年7月16日
巧みな脚本、仕上がった作品と現実との融合は見ていてとても心地よい。
笑いを誘う上手い見せ方と役者陣の熱意、そして疾走感は撮影現場の疑似体験へと昇華して観客をも巻き込んでいく。
多重構成にも関わらず上手く纏められたエンターテインメント作品だ。#カメ止め pic.twitter.com/Ykp2Xz3YNi
昨日の「#カメラを止めるな!」を観て。
— レクニャン@映画垢 (@m_o_v_i_e_) 2018年7月17日
お金を掛ければ良い映画が作れるわけでもないし、良いアイデアと見せ方ひとつで、役者陣の熱意で、観客と一体となることで、作品の魅力というのは化学変化が起こる。
しかし、どれだけ面白くても当然ながら宣伝や口コミなどの相乗効果あってこそだよなあと。
前提として、この作品は好きです。
それを踏まえた上で、あえて言及していきます。
そもそも、前知識、予備知識を持たずに観た場合、期待した作品なのか?期待を超える内容なのか?
ゾンビ映画としてカメラを止められない。
言い換えれば、撮影し続けなければならない現状でゾンビパンデミックが起こるといったものを期待してしまうと斜め上を行くものとなっています。
そう、予告編を観るか観ないかで、期待する方向性が大きく変わってきてしまうんですよね。
前半、ゾンビ映画としてのクオリティは手放しに褒められるものではありません。
低予算というフィルターを通してでも。
この作品で評価できるポイントのひとつがここにあります。
この低予算で見るに堪えないとは言いませんが、少しシラケてしまうようなチグハグした冒頭のゾンビ映画。
このチープさでさえ、伏線回収へと繋げてしまうんですよね。
キャッチコピーや予告編をご覧になられた方は察すると思いますが。
一度落とされた(笑)気持ちを盛り上げる脚本。
その落差の絶対値が大きければ大きいほど、この作品が面白いと感じる仕様になっているのでしょう。
えっ、上田慎一郎監督凄すぎない?ってなっちゃいます。
実際に撮影されたものと伏線回収時の演出に少し齟齬が見えたこと。
ここは大した問題ではありません。
むしろ、上手く誤魔化せてたと思います。
チープな低予算ゾンビ映画での盛り上がりを期待すると恐らくは期待外れ、肩透かしを食らってしまいます。
ここで「オイオイ、マジかよ(笑)」な空気が劇場で流れたことも確かです。
そこを裏切って、楽しませてくれたエンタメ性の高い脚本と役者陣の熱が観客を巻き込んだ。
この作品の人気を支える大きな要因のひとつだと思います。
自分も予備知識なしに観に行きましたが、そこに惹かれたことは間違いないでしょう。
ここにハマれるかどうか。。。
あまり時間が取れず、観た方の感想も回りきれてませんが、見るのは絶賛評ばかり。
そう、それに期待しすぎると合わない人がいてもおかしくない。
観客皆が同調圧力に負けてるとは思いません。
ただ、批判的な意見をあまり見かけないこと。
そして、上田監督の次作への期待値は不安がないこともない(笑)
次に、インディーズ映画は普段メジャー作品を観ている観客にウケるのか?
かく言う自分もミニシアター系映画を好き好んで観るタイプではありますが、数をこなしている訳ではありません。
時間に余裕があれば足を運ぶ程度で、大半はやはりメジャータイトルに落ち着く。
普段から映画を観ない観客にとってのインディーズ映画はどう映るのか?
経験上、この作品のように口コミで広まっていないインディーズ映画はやはり空席が目立ちます。
上映館数も少なく、座席数も少ない。
「カメラを止めるな!」は口コミも宣伝もあり、ほぼ満員でした。
そして、鑑賞中に何度か笑いの起こる和やかな雰囲気でした。
その雰囲気に引っ張られたこともあるでしょうが、コメディタッチな笑いは万人受けしそうではありました。
そうです、純粋にこの演出が評価された瞬間でもあり、ここに所謂顔となる役者や監督の名前は不要なんです。
もちろん最低限の技術は必要ですが。
確かに演技力にバラつきはありました。
しかし、それを互いに補い合い、ひとつのチームとしてこの作品を作り上げた。
そんな熱意が観客の心を掴んで離さないんですよね。
あ、厳しくいこうと思ってても、何故か褒めちゃってますね。
なんか悔しい(笑)
ということで
厳しい目で評価しましょう。
本作「カメラを止めるな!」は本当に前情報や予備知識なしでなければいけないのか?
自分も映画好きを謳っているひとりであり、それなりにネタバレはダメだというような作品も観てきています。
そんな中で時折思うのが、ばらしていいネタバレとばらしてはいけないネタバレです。
例えば、公開当初に問題となったM・ナイト・シャマラン監督作「スプリット」。
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この作品を観る前にある作品を観ておけ。といったネタバレとも取れないネタバレ問題ですね。
観客にとって有益で必要な情報であるにも関わらず、それをネタバレだと批判されたことに疑問は大きい。
それは必要なネタバレ(ネタバレと言っていいのかも疑問だが)だと思っています。
シャマラン監督の過去作を観ておいた方がいいよ。だけではプッシュが弱いんですよね。
次に、ジェームズ・マンゴールド監督作「アイデンティティー」。
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この作品のすごいところは、ネタバレ禁止の部類に入る作品であるにも関わらず、作中であっさりとネタバレを掲示してしまう。
そこに観客が納得出来ること。
そしてネタバレを知っても楽しめること。
何度観ても面白い点にあると思うんです。
本作「カメラを止めるな!」に関しても
ネタバレされても観客は納得して楽しめるのか?と。
ネタバレされてから観ても面白いのか?と。
恐らく、自分はもう一度観に行っても楽しめると思います。
それは自分がこの作品にハマれたからというのが大きい。
一度も鑑賞されていない観客が、もしネタバレを見て、それでも尚この作品を楽しめるのかどうかという点に非常に興味があります。
あくまでも一般的な視点で。
もちろん、何も知らない状態の方が受ける衝撃は大きい。
かく言う自分も、ネタバレは出来る限り見たくありません(笑)
前情報も予備知識もあまり入れずにフラットな状態で作品に臨みたい。
しかし、ネタバレされたから面白くなくなるような作品はそもそも面白い作品なのか?とも思う。
まだ観てない方に言いますが、「カメラを止めるな!」は正直、予告編でネタバレしてます(笑)
どちらがいいのかなんて言えませんが、公式が掲示した内容を踏まえた上で鑑賞しなければ、観客側が勝手に期待して、思っていたのと違うと肩透かしを食らってハマれなかった。なんてことも有り得るということが言いたい。
そもそもの話、ネタバレの境界線は各々違うってのもあるんですけど。
キャッチコピー
『最後まで席を立つな。この映画は二度はじまる。』
もしかすると、ネタを知った二回目の鑑賞で何かが始まるのかもしれない(笑)