小羊の悲鳴は止まない

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「神と共に 第二章:因と縁」ネタバレあり感想

目次




初めに

こんばんは、レクと申します。
今回は下半期映画鑑賞初日ということで、ずっと楽しみに待っていた「神と共に 第二章:因と縁」を観てきました。

いやー。
面白かった!!!

ということで、ダラダラと思ったことを書き綴ってます。



この記事は前編「神と共に 第一章:罪と罰」及び後編である今作のネタバレを含みます。
未鑑賞の方はご注意ください。



作品概要


原題:Along with the Gods: The Last 49 Days
製作年:2018年
製作国:韓国
配給:ツイン
上映時間:141分
映倫区分:G


解説

韓国の人気ウェブコミックを実写映画化し、世界的ヒットを記録したファンタジーアクション2部作の第2章。1000年間で48人の死者を転生させた冥界の使者ヘウォンメクとドクチュン、カンニムは、あと1人を転生させれば自分たちも新しい生を得ることができる。カンニムは怨霊だったジャホンの弟スホンを、最後の裁判を受ける貴人に決める。本来なら怨霊は消滅させなければならないが、閻魔大王はある条件と引き換えにカンニムの提案を受け入れる。その条件は、ソンジュ神に守られて冥界からの使者をことごとく追い払ってしまう老人チュンサムを冥界に連れてくること。下界に降りた彼らは、ソンジュ神から驚くべき真実を知らされる。カンニムを「お嬢さん」のハ・ジョンウ、ヘウォンメクを「アシュラ」のチュ・ジフンが演じる。共演に「新感染 ファイナル・エクスプレス」のマ・ドンソク、「新しき世界」のイ・ジョンジェ。「ミスターGO!」のキム・ヨンファ監督がメガホンを取る。
神と共に 第二章 因と縁 : 作品情報 - 映画.comより引用

予告編



因と縁

こちらが前作のネタバレ感想記事になります。


今作も本編上映前に丁寧にも前作のおさらいが流れます。



さて、早速本題に入っていきますが
今作のサブタイトルは"因と縁"

まさにその通りでした。
前作は、この物語の始まりに過ぎなかった。
今作こそが、この物語の本編であり、終わりだったのです。

今作は前作に比べアクションは少なめ。
その人物描写に特化し、前作とは異なった色を放つ。



前作の主人公キム・ジャホンの弟キム・スホン。
彼の無念の死の秘密は前作で下界を調査したカンニムしか知りません。
前作のラストでスホンは"貴人"に認定されます。

物語の大筋はスホンを生まれ変わらせ、千年で累計49人の生まれ変わりを達成した使者3人が生まれ変わることができる。というもの。

今回の裁判は7つではなく、スホンが過失致死によるものではなく無念の死であることを証明し、貴人として生まれ変わらせる裁判。
つまり、そのスホンの死に関わる裁判しか行われません。
怨霊になった不義の罪と同僚を襲った暴力の罪。

天倫地獄の閻魔大王が出したこの裁判を行う条件が、スホンの裁判が終わる49日以内に下界で使者を尽く追い払うソンジュ(屋敷神)に守られている寿命を迎えてたホ・チュンサムを冥界に連れてくること。


そうです、前作のエンドクレジットでも流れた
我らがマ・ドンソクの登場です!

ヘウォンメクとの超高速バトル…何を見せられているんだ?(笑)


ソンジュはヘウォンメクとドクチュンの2人を冥界に連れてきた使者
つまり、千年前には既に使者であり、大先輩。
ヘウォンメクとドクチュンの過去を知る人物。

マ・ドンソクがおじいちゃんの孫ヒョンドンを守るために現身してるってだけでも可愛くて笑っちゃうのに、一番笑ったのが人糞を触ると力が抜ける設定。
顔が濡れて力が出ないアン〇ンマンかよ(笑)


ソンジュとの邂逅で、使者たちの過去の秘密が次々と明かされていきます。



千年前

スホンの死の秘密は前作で描かれており、下界の出来事は千年前の出来事を想起させるきっかけとなっています。
従って、メインストーリーでもある千年前の出来事を中心に確認していきます。



時は千年前に遡る。
使者たちの生前は"高麗"の時代。

高麗(こうらい、ハングル:고려;[koɾjʌ]、918年 - 1392年)は、918年に王建(太祖)が建国し、936年に朝鮮半島の後三国を統一し、李氏朝鮮が建てられた1392年まで続いた国家である。首都は開京。10世紀の最大版図時に高麗の領土は朝鮮半島の大部分に加えて元山市や 鴨緑江まで及んだ。
高麗 - Wikipediaより引用


高麗時代、契丹と高麗は対立。
933年、契丹の高麗侵攻は、当時中国大陸の北部を支配していた契丹によって5度にわたり行われた今の朝鮮半島にあった高麗王朝への侵攻のことです。
1010年、契丹は再び高麗へ侵攻し、開城を占領。
撤退した契丹は高麗と1019年に講和を結び平穏な状態に戻り、高麗は契丹朝貢する。

また、江東6州と呼ばれる場所は元々、女真族の居住地でした。
契丹の高麗侵攻により高麗は宋とは断交し、契丹朝貢することになる。
高麗と契丹の間に女真がいるのが障害だと、江東6州を高麗の領土とすることを認めてもらい、高麗はこの地域に住んでいた女真を征服して城を築きました。



ここからは冥界の使者3人の過去を辿ります。

カンニムの出来事
ヘウォンメクとドクチュンの出来事



使者カンニムは高麗の大将軍。


使者ヘウォンメクも高麗の最高の武将。

つまり、カンニムとヘウォンメクは同じ国の武将だったわけですね。
通りで武術に長けており、強いわけです。




ヘウォンメクは山猫の毛皮を首に巻き、女真族から白い山猫と恐れられていた。
高麗の騎馬兵に襲われた村で子供を守った女真族がドクチュン。
親のいない子供たちの親代わりとして隠れ家で暮らす。

カンニム父はカン・ムンジク女真征伐隊長。
敵国である契丹軍にも慈悲を持ち、誰からも尊敬される存在であった。

ムンジクは人道主義、カンニムは原理主義
ここで小さな親子の確執が生まれる。

カンニムの弟は契丹族の少年で、慈悲深いムンジクはその少年を養子に迎え入れた。
弟を可愛がり指導する父に嫉妬する。

ここは下界のヒョンドンを養子に入れるか否かの話から想起させるのですが、史実でも契丹が高麗の兵士になったという話はあります。



ある日、ドクチュンは虎に襲われたところをヘウォンメクに助けられる。
女真族の子供たちを匿う隠れ家へ案内する。

ここのヘウォンメクがかっこよすぎて、もうね。
なんなの!?ってなりましたよね。

女真族との最終決戦。
先鋒を兄であるカンニムではなく弟にすると父が弟に伝える。
カンニムは勝ち戦だが犠牲が出ると先鋒を外され、父親に裏切られた気になってしまう。

二度と南方へ来るなと注意喚起されたドクチュンだが、子供の具合が悪くなり薬草を採りに南方へ行ったところをヘウォンメクに再び助けられる。
ヘウォンメクを北方の辺境の地へ追いやった上官の名前はミロン。

ここで現代のドクチュンが自分の両親は白い山猫(ヘウォンメク)に殺されたことを知る。
この時の2人のギクシャク…まるで倦怠期を迎えたカップルじゃあないかッ!!!



ヘウォンメクはドクチュンの両親を殺した罪悪感から上官ミロンに嘘の報告をし、隠れ家に軍糧を回し、子供たちが自立できるように軍事訓練を行った。
その事がバレてしまい、国に不義を働いた大罪人として部下のトルボとともに獣のエサに。
ドクチュンに知らせるためヘウォンメクはトルボの死体を引きずり二里離れた隠れ家へ。
白い山猫の襟巻をドクチュンにかけ謝罪するヘウォンメク。
ミロンが隠れ家へやって来てヘウォンメクを殺害。

この時のヘウォンメクとドクチュンが抱き合った時の込み上げる想いと言ったら…ねっ!!!

ソンジュの言葉から、ミロンを逆から読むことに気付いたヘウォンメク。
その名前はカンニム。
予想は付いてたけどハングル語は読めない!(笑)

逃げたと思われたドクチュンがカンニムを刺し、カンニムがドクチュンを殺害。
「なぜ泣いているのだ?悲しくて泣いているのか?」
現れた閻魔大王が尋ねる。
カンニムは息絶え、使者となることとなる。


ヘウォンメクはドクチュンの両親を殺し、ドクチュンはヘウォンメクに命を救われ、カンニムはヘウォンメクとドクチュンを殺した。
千年前の3人の因縁が、今在る使者3人の関係を複雑な気持ちにさせます。

スホンの死の理由が前作からの盛大な伏線であり、前作が始まりに過ぎないという言葉を今作を観て真に理解することが出来る。



今作のスホンの裁判は、実は千年間もの月日を掛けた罪を犯したカンニムの裁判でもあったのです。

自分が殺した青年と少女とともに過ごし、49人を生き返らせて、記憶を消して生まれ変わらせる。
これがカンニムの贖罪、永遠に続くような罪悪感とともに許しを求めることができず千年もの時間を2人と過ごしてきたのです。


また、そこで新たな事実が明かされる。
カンニムの父ムンジクは実は戦死ではなく殺され、その事実を隠蔽されていた。
隠蔽したのはカンニムであり、生きている父を見て見ぬふりして見殺しに。
その理由は、いつも自分より優秀な弟に居場所を、名誉と権力を奪われるから。

生きているスホンを見て見ぬふりし、自分の地位と家庭を優先して生き埋めにしたパク中尉の姿をカンニムは自分自身の姿と重ね合わせていたんですね。
ここでも前作からの大きな伏線が回収される快感である。



そしてエンドクレジット。
天倫地獄の閻魔大王は、実はカンニムの父ムンジクだったのです。

えええええ…!?
と言った驚きは特になかったのですが(笑)

カンニムが死んだ時、閻魔大王が現れて「なぜ泣いているのだ?悲しくて泣いているのか?」と投げかけた意味が分かりましたね。

この時、既に閻魔大王はムンジクで
息子に罪を償わせること。
許しを得るきっかけを与えること。
そんな慈悲の心を持ちながら、自ら裁く立場に身を置くことで息子を見守るため。

カンニムの記憶は消さず使者となることを勧め、ソンジュによって冥界に連れてこられたヘウォンメクとドクチュンの2人の記憶を消してカンニムにつけることを担った。
前作に引き続き親子愛の側面も感じられる。



総評

冒頭に記述した通り
面白かった!!!

アクションは少なめですが前作から引き継ぐファンタジーの世界観とヒューマンドラマの畳み掛け。

とはいえ、下界のおじいちゃんと孫に心は揺さぶられることはなく。
何故なら、千年前の話が目立つから(笑)

そして前作に引き続き、法廷劇は前作同様に雑。




予告でも使われたジュラシックパークの件とかも雑。
スホンの恐怖が具現化される地獄鬼、映像としては迫力あるけど、雑(笑)


そうです、今作のキモはスホンの裁判でも下界の任務でもなく、それらはすべてが使者カンニム及びヘウォンメクが生前に犯した罪を掘り起こす媒体に過ぎないのです。
まさに因縁。



スホンの死と使者3人、下界と冥界、現在と過去を交錯させながら2つの事象が混じり合いひとつに収束していく心地良さ、快感。

今回はこれに尽きる。
そんな上手いこと下界の出来事が千年前の出来事と重なるのか?という野暮な疑問は持つな!感じろ!(?)



また、今作で最大限の魅力を出し切ったヘウォンメク。
過去の自分と過去が消された現在の自分、一人二役でを演じたチュ・ジフン
カンニムを演じたハ・ジョンウ、ドクチュンを演じたキム・ヒャンギと異なるところは、過去と現在でのヘウォンメクのキャラクターにある。


カンニムは、過去の記憶もあり、過去と現在とでキャラクターに差ほど変化はない。
ドクチュンは、ヘウォンメク同様に過去の記憶を失ってはいるがソンジュが語ったようにキャラクターは千年前と変わらない。
一方でヘウォンメクは、記憶を消されて過去と現在で完全に別のキャラクターとなっており、尚且つ実際には同じキャラクターであるという難しい役どころ。


一人二役は同じ俳優が2人の人物を演じること。
全くの別物でありながら元は同じであることと、初めから別物であることとでは少しニュアンスが異なる。
ヘウォンメクとドクチュンは過去の自分、失われた記憶を辿るうちに過去の自分を誇らしく思ったり、カンニムや2人の関係性、心情の変化がより大きく見られる。

特にヘウォンメクは、過去の自分に寄せていくというよりも、失われた部分を補完していくといった演技がさり気ない仕草や表情に表れていたと思います。


前作に比べ今作での分量も圧倒的に増え、これまでのヘウォンメクから更に魅力が増し、同時にチュ・ジフンの評価も上がった。

しかし、こうやって反芻すると、ヘウォンメクとドクチュンも使者になる前、ソンジュに冥界に連れてこられて裁判を受けたのかな?
ヘウォンメクの罪はドクチュンの許しで無罪になったのかな?
など、その人物描写の背景を膨らませて考えてしまいますね。



また、誤射事件を起こしてしまい、不義地獄で証人として召喚されて裁判中に死んでしまったウォン・ドンヨンが"貴人"として冥界にやって来てましたが・・・なんだこの循環は(笑)

やるのか?第三章?
やるなら観るぞ?絶対観るぞ?



終わりに

会者定離
出会った者はやがて別れる。

去者必返
去った者は必ず帰ってくる。

罪は罰として裁かれ、因は縁を結ぶ。
過ちや犯した罪、それをどう受け止めどう償うのか。
前作からの人物相関図が巡り巡って繋がりを持つ因縁を描いた「神と共に 第二章:因と縁」、皆さんは如何でしたか?


毎度ながら纏まりのない読みにくい記事で申し訳ありませんが、自分はある程度思ったことは書けたと思います。

本当に冗談抜きで続編が作られるのであれば、観に行きたいと思います!
ってか作ってくれ!!!
超大作アクションファンタジーとして後世に残してほしい映画です。



最後までお読みくださった方、ありがとうございました。




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